パナソニックHD「1万人削減」――時代の転換点に立つ日本の大企業

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パナソニックホールディングス(HD)が2025年5月、国内外で約1万人の人員削減を発表しました。
この規模はグループ全体の約5%にあたり、国内外それぞれ5,000人ずつの削減となります。
本社やグループ会社の営業・管理など間接部門を中心に、希望退職や拠点再編を通じて2025年度中に実施される見込みです。

なぜ今「1万人削減」なのか

パナソニックは、松下電器時代から日本のものづくりを支えてきた象徴的な企業です。
家電や電池、住宅設備など、私たちの生活のあちこちにパナソニックの製品があります。
しかし、ここ数年は世界的な競争が激化し、中国や韓国のメーカーが価格・性能ともに急成長。
パナソニックも努力を続けてきましたが、従来のやり方だけでは収益が伸び悩み、
業績の停滞や利益率の低下が課題となっていました。

グループ内では、間接部門の肥大化や重複、収益性の低い事業の温存など、
「昔ながらの大企業体質」が指摘されてきました。
今回の1万人削減は、こうした構造的な課題に本格的にメスを入れるためのものです。

「変わらなければ生き残れない」時代

パナソニックHDの楠見社長は「このままでは未来がない。今こそ変わる勇気が必要」と語っています。
黒字を維持しつつも、グループ全体の競争力や収益性、コスト構造の見直しが急務。
本社や間接部門の統合・スリム化、収益改善が見込めない事業の撤退や売却、拠点の統廃合、
必要な組織や人員の再設計など、大規模な経営改革を進めています。

テレビ事業の売却や縮小も検討されており、
「パナソニック株式会社」を複数の事業会社に分割する再編も進行中です。
2029年3月期までに3000億円以上の利益改善、2026年度に営業利益6,000億円超を目指すとしています。

日本ブランドの転換点

かつては「パナソニック」という名前だけで世界中に商品が売れた時代もありました。
しかし今は、デジタル化やAI、グローバル競争、消費者ニーズの多様化など、
「いいものを作れば売れる」だけでは通用しません。
新しい価値を生み出せるかどうかが問われる時代です。

パナソニックもグループ会社の再編や新分野への挑戦、AIやDX(デジタルトランスフォーメーション)の強化など、
これまでの“当たり前”を見直し、変革に本気で取り組んでいます。

1万人削減は「未来への投資」

今回の人員削減は、単なるリストラではありません。
本当に必要な仕事に集中し、社会に新しい価値を届けるための変革です。
間接部門のスリム化や赤字事業の整理を通じて、
グループ全体で生産性を高め、競争力を取り戻す狙いがあります。

もちろん、働く人やその家族にとっては大きな決断であり、簡単なことではありません。
ですが、「会社を小さくする」ためではなく、「未来に向けてもう一度強くなる」ための選択です。

これからのパナソニックに期待

パナソニックはこれまでも、時代の転換点ごとに大きな変革を乗り越えてきました。
今回の1万人削減も、厳しい決断の先に「新しい成長」や「社会への貢献」が待っているはずです。

私たち消費者としては、
「パナソニックがこの先どんな新しい商品やサービスを生み出してくれるのか」
「日本のものづくりの底力を、これからも世界に発信してくれるのか」
そんな期待を持ち続けたいところです。

まとめ:変わる勇気にエールを

どんなに大きな会社でも、時代の流れには逆らえません。
でも、変わる勇気を持って新しい一歩を踏み出すパナソニックの姿勢は、
きっと多くの企業や私たち自身にもヒントを与えてくれるはず。

これからもパナソニックが新しい時代にふさわしいチャレンジを続け、
私たちの暮らしをもっと豊かにしてくれることを願って――

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