米Googleは、対話型AI「Gemini」アプリおよび「Google Workspace」において、従来のカスタム指示機能「Gems」を新機能「Skills」へ段階的に移行することを発表しました。従来の個別チャットボット形式から、通常の会話内で複数の指示を柔軟に重ねて呼び出せる形式へと変更されます。公表された仕様と移行日程の事実を整理します。
この記事の結論
米GoogleはGeminiアプリおよびGoogle Workspaceにおいて、従来のカスタムAI「Gems」を段階的に廃止し、新機能「Skills」へ移行すると発表しました。SkillsはMarkdownベースのSKILL.md標準で作成される再利用可能なプロンプトで、1つのチャット内で複数重ねて適用できます。アプリ間同期がない点や、2027年にかけての廃止日程に留意が必要です。

従来のGemsと何が変わり、どう動作する?
新機能「Skills」は、Geminiでの作業を手助けするために設計された再利用可能なプロンプト(カスタム指示)です。従来のGemsが独立したカスタムボットとして動作していたのに対し、Skillsは通常のチャットスレッド内でインライン機能として動作する点が大きく異なります。
最大の変更点は、1つのプロンプト内で複数のカスタム指示セットをスタック(重ねがけ)して適用できる点です。公式発表では具体的な組み合わせ例として以下の2点が挙げられています。
- 教育分野:『週刊ニュースレター』スキルと『機関ブランドガイドライン』スキルを組み合わせ、組織の指針に沿った広報文を一度に作成する
- ビジネス分野:『ベンダー評価』スキルと『役員向けメール作成』スキルを組み合わせ、取引先分析から報告用メール文面までを一括処理する
また、SkillsはオープンなMarkdownネイティブ規格である「SKILL.md」標準に準拠して構築されています。そのため、他の対応プラットフォームで作成された指示文であっても、GeminiアプリやGoogle Workspaceアプリへ直接コピーして利用できる設計です。
GeminiアプリとWorkspace間でスキルは自動同期される?
現時点において、「Gemini」アプリと「Google Workspace」アプリの間で作成したスキルは同期されません。同一のGoogleアカウントを使用していても、それぞれの環境は独立して管理されています。
したがって、両方のプラットフォームで同じスキルを活用したい場合は、それぞれの環境で別々に指示文を作成・登録する運用が必要です。なお、前述の通りSKILL.mdの規格に準拠しているため、作成したプロンプト本文をコピー&ペーストして再登録することは容易に行えます。

利用対象となるアカウントとWorkspaceプランの範囲
窓の杜の報道によると、GeminiアプリにおけるSkillsの展開は、すべてのGoogle Workspaceユーザーおよび個人のGoogle アカウントユーザーが対象に含まれています。一方、Google Workspace側で利用可能な対象プランは以下のエディションに限定されています。
- Business Starter / Business Standard / Business Plus
- Enterprise Starter / Enterprise Standard / Enterprise Plus
- Google AI Pro for Education
- AI Expanded Access
契約しているプランによって、Workspaceの各アプリケーション内で直接呼び出せるかどうかの前提条件が分かれます。
Gemsの作成・利用はいつまで継続できる?
Googleは今後数カ月をかけて全環境のGemsサポートを段階的に終了する計画を示しています。展開および廃止の具体的なスケジュールは以下の通りです。
| 時期 | 対象環境 | 実施内容・利用制限の変更 |
|---|---|---|
| 2026年10月5日 | Google Workspace | Skillsの展開開始(即時リリースは10月12日完了、計画的リリースは10月19日〜11月中旬) |
| 2026年10月13日 | Gemini アプリ | Skillsの展開開始(即時・計画的ドメインともに11月中旬までに完了) |
| 2026年11月17日 | Gemini アプリ | Gemsが設定パネル内へ移動(作成・編集・使用自体は引き続き可能) |
| 2026年11月中旬 | 両環境 | 全ドメインへのSkills展開が完了 |
| 2027年3月1日以降 | Business / Enterprise | Gemsの作成・編集・使用が全面不可。残存Gemは自動的にスキルの下書きへ移行 |
| 2027年6月1日以降 | 教育機関 | Gemsの作成・編集・使用が全面不可。Classroomや外部LMSから削除され下書きへ移行 |
現在すでに「Workspace Studio」を利用している環境では、新規フローで[Gem に質問する]ステップを追加することはできません。ただし、すでに作成済みの既存フロー内に含まれる同ステップについては、廃止期限まで引き続き動作します。

既存のGems資産はどう引き継がれる?
現在Geminiアプリ内に作成してあるGemsは、廃止期限を迎えた時点で「Geminiアプリのスキルの下書き」へと自動移行される予定となっています。そのため、過去に構築したプロンプトの記述内容そのものが完全に消失するわけではありません。
ただし、自動移行を待たずに即時Skillsへ移行したい場合は、Geminiアプリ内でGemsの設定内容を手動でスキルとして再作成することも可能です。前述の通りWorkspace側への自動同期は行われないため、ドキュメント等の業務アプリ内で同じ指示を利用したい場合は、Workspace側でも個別に再作成を完了させる必要があります。
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