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PS5のLinux化が開発者撤退で終了、原因と対応FWの条件を分析

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PlayStation 5上でLinuxを起動し、PCゲームを遊べるようにする有志プロジェクトが突如終了を迎えました。長年にわたりシーンを牽引してきた開発者が、生成AIに依存する初心者の台頭に失望して開発から退く意向を表明したためです。この記事では、公表された経緯と現在の動作条件を整理してお伝えします。

この記事の結論

PS5向けLinux開発を率いたTheFlow0氏が、中身を理解しないAI生成コードの氾濫と報奨金目的のバグ報告を理由に撤退を表明しました。これにより最新OS向け開発や2027年予定のPS5 Pro対応は中止となり、利用可能な環境はファームウェア3.00〜7.61対応のVersion 2.5で固定されます。

白と青を基調としたミニマルな空間に置かれたゲーム機内部回路のイメージ

有志開発者はなぜ突然プロジェクトから退いた?

PS5 Linuxプロジェクトの中心人物であったAndy Nguyen氏(別名:TheFlow0)は、PlayStationのセキュリティ研究コミュニティで10年以上にわたり活動してきた著名な開発者です。同氏はPlayStation Vitaにおいて世界初となるカーネルエクスプロイト(OSの中核部分であるカーネルの脆弱性を突き、未許可プログラムの実行を可能にする技術)を開発した実績でも知られています。

Nguyen氏らが進めていたPS5 Linuxプロジェクトは、PS5を実質的な「Steam Machine」に変え、PCゲームの動作やデュアルブート(1台のゲーム機に複数の基本ソフトを導入し、起動時に選択できる仕組み)を実現する先進的な取り組みでした。しかし同氏はSNS上の声明で、PS5シーンからの完全撤退とLinuxプロジェクトの終了を発表しました。

同氏は「2027年の公開に向けてPS5 Proへの対応を進める計画を含め、心血と数カ月もの時間を注ぎ込んできましたが、すべてが水泡に帰しました」と胸中を明かしています。この撤退劇の背景には、オープンソースコミュニティにおける生成AIの急速な普及が関わっています。詳しい経緯については、海外メディアFRVRの報道でも詳しく報じられています。

透過ガラスとシルバーの板で表現されたソフトウェア階層とセキュリティのイメージ

AI生成コードと報奨金報告がもたらした決定打

Nguyen氏が撤退の理由として挙げたのは、「バイブコーダー」と呼ばれる層の台頭です。バイブコーダーとは、プログラミング言語の文法やシステムの動作原理を理解せず、大規模言語モデル(LLM)へのプロンプト入力や直感的な指示だけでコードを生成させる開発者を指す俗称です。

同氏は「かつてこのコミュニティは高い才能を持った研究者の集まりでしたが、今では大規模言語モデルを使い、自分たちで理解すらしていない改造コードを書く初心者の集まりになってしまいました」と指摘しています。同様の混乱は他プロジェクトでも起きており、PlayStation 3エミュレータとして知られる「RPCS3」の開発チームも、理解の伴わない粗雑なAI生成コードの投稿が殺到したことを受け、バイブコーダーの参加を禁止する措置を発表していました。

今回の決定打となったのは、ハイパーバイザー(ハードウェア上で複数のOSを仮想的に並行動作させる制御層)に残されていた脆弱性の扱いです。Nguyen氏も以前からこの唯一残されたハイパーバイザーバグを把握していましたが、将来の展開を見据えて温存していました。同氏は「『Grand Theft Auto VI(GTA 6)』が発売され、利用者がゲームを正規購入した上でLinux環境を楽しめるようになるまで、バグの公開を待ってほしい」と関係するコミュニティへ要請していました。

しかし、AIを用いて同じ脆弱性を検出したグループは、その約束を交わした翌日にはSonyのバグ報奨金プログラムへ報告を行いました。この報告によって脆弱性が塞がれ、最新システムソフトウェア上でのLinux動作への道が断たれたことが、同氏の開発終了表明につながりました。

計画されていた構想と確定した仕様の違い

今回の撤退表明に伴い、PS5 Linuxプロジェクトで予定されていた長期ロードマップと、実際に利用可能な機能の範囲には決定的な差が生じました。確認されている状況の推移は次のとおりです。

当初の予定(開発中止により消滅) ・2027年にPS5 Pro対応版をリリース ・新OS向けハイパーバイザーバグの活用 ※脆弱性の事前報告と開発者撤退により白紙化 確定した提供状況(最終バージョン) ・PS5 Linux Version 2.5で更新終了 ・対応機種: PS5初期型(Phat)/ 薄型(Slim) ・対応ファームウェア: 3.00 〜 7.61
PS5 Linuxプロジェクトにおける計画と最終確定状況の整理

計画されていた内容と、確定した事実関係の比較は以下の表で確認できます。

項目 当初の計画 撤退後の確定状況
最終バージョン PS5 Pro対応版(2027年予定) Version 2.5(更新終了)
対応ファームウェア より新しいバージョンへ拡大予定 3.00〜7.61のみ
対応ハードウェア 初期型・薄型・PS5 Pro 初期型(Phat)・薄型(Slim)
脆弱性の利用計画 GTA 6発売時期まで保持予定 第三者によりSonyへ報告・失効
デュアルブート環境を象徴する分割された金属球体と青い光のイメージ

PS5 Linuxが動く環境はFW 3.00〜7.61に限られる

Nguyen氏が手掛けた成果物として最終版となるのは、現在公開されている「PS5 Linux Version 2.5」です。このバージョンが対象とするハードウェアは、初期型のPS5(Phat)および薄型のPS5(Slim)の2機種に限られます。

動作に必要なファームウェア(本体のハードウェアを制御するシステムソフトウェア)のバージョンは、3.00から7.61までの範囲です。ハイパーバイザーの脆弱性がSony側へ報告されたことにより、7.61を超える新しいファームウェアに対してプロジェクトが対応を広げる可能性は失われました。

また、2027年に予定されていたPS5 Proへの対応計画も完全に中止されています。今後発売される派生機種や最新ファームウェアへ適用できる見込みはありません。

手元の本体で導入可否を分けるファームウェア条件

PS5 Linuxの利用に関心がある場合、導入できるかどうかは手元の本体ファームウェアの数値だけで判断できます。PS5のホーム画面から「設定」>「システム」>「システムソフトウェア」>「本体情報」を開くことで、現在のバージョンを確認できます。

バージョンが7.61を超えている場合、本プロジェクトによるLinux導入は行えません。主要開発者のTheFlow0氏が撤退を表明しているため、今後のアップデートを待っても新しい解決策が公式に提供される予定はありません。

一方、ファームウェアが3.00から7.61の範囲内にある個体を所持している場合のみ、Version 2.5の導入条件を満たしています。ただし、公式のシステムソフトウェア更新を一度でも実行するとバージョンが上がり、導入の前提条件が失われます。なお、ゲーム機本体への非公式ソフトウェアの導入や改造行為はメーカーのサポート対象外となり、故障やセキュリティ上の危険を伴う点には留意が必要です。

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この記事を書いた人

現場系Python自動化エンジニア / サイト運営者

工場での生産設備保守や不良原因調査を経験したあと、人事総務・CS(カスタマーサポート)領域で業務改善に関わってきました。現場で「同じ作業に時間を取られすぎる」と感じたことをきっかけに、Pythonや生成AIを使った自動化ツールを作り始めています。
Nexistixでは、AI・自動化・ガジェットのニュースや話題を、個人利用・副業・業務効率化の目線で読み解いています。
休日はバスケをしたり、愛犬のハク(クリーム色の豆柴)とゆっくり過ごすのが楽しみです。

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