Windows 11のプレビュー版において、新しい回復機能「クラウド リビルド」が設定アプリから呼び出せるようになりました。ネットワーク経由でOSとドライバーをまとめて再導入できる仕組みとして注目されています。従来の初期化機能との違いや、実行時の具体的な挙動と制限事項を整理します。
この記事の結論
Windows 11の新機能「クラウド リビルド」は、設定アプリからクラウド経由でOSとドライバーを同時に再インストールできる回復オプションです。従来の「この PC をリセット」と異なりUSBメディアなしで最新状態へ復旧できますが、ローカルのファイルやアプリは全消去されます。現在はExperimentalチャネルでのテスト段階のため、本番機での使用は避け、検証環境での利用が推奨されています。

「クラウド リビルド」と従来の初期化は何が違う?
「クラウド リビルド(Cloud rebuild)」は、Windows 11をクラウドからダウンロードして再インストールし、PCをクリーンな状態へ戻す新しい回復オプションです。米国時間2026年10月2日に配信された「Windows 11 Insider Experimental Preview」Build 26340.9596において、設定アプリ内の[システム]-[回復]ページにエントリーポイント(起動の入口)が追加されました。この変更は対象環境へ段階的に展開されています。
窓の杜の検証報道によると、これまではPC起動時の特殊なメニューである「Windows回復環境(WinRE)」に入ってから呼び出す必要がありました。今回の更新により、通常のWindowsが起動している状態から設定画面を通じて直接リビルド処理へ進めるようになっています。
従来の「この PC をリセット」との決定的な違いは、取得するデータの範囲です。従来方式ではローカルストレージ内の回復イメージやクラウドからのOSファイル取得にとどまっていましたが、クラウド リビルドではOSイメージに加えて、そのデバイスに対応したドライバーも「Windows Update」から同時に取得されます。これにより、事前にUSB回復ドライブやカスタムイメージを用意していなくても、再構築が完了した直後から周辺機器やハードウェアが完全な状態で動作する環境が整います。
ドライバーもWindows Updateから同時に再取得される
PCを初期化した際に起こりやすいトラブルの一つとして、ネットワークドライバーや各種チップセットのドライバーが欠落し、初期設定直後にインターネット接続やディスプレイ表示に支障が出るケースが挙げられます。従来の回復機能では、既存のOS領域に残されたドライバー情報に依存するか、ユーザー自身があらかじめドライバーを用意しておく必要がありました。
クラウド リビルドでは、マイクロソフトのクラウドサーバーからWindows 11の本体イメージを取得すると同時に、必要なデバイスドライバー群をWindows Update経由で一括収集して組み込みます。外付けのインストールメディアをあらかじめ作成する手間が省ける一方、処理を完了させるためには安定したネットワーク接続環境が不可欠となります。

設定アプリの[回復]から再構築を開始する手順
プレビュー版において確認されている操作手順は、日常的な設定変更と近い導線で設計されています。
まず[設定]アプリを開き、[システム]から[回復]の項目を選択します。新設された[Rebuild this PC]という欄の中に[Rebuild PC]ボタンが配置されています。プレビュー版の現時点ではボタン表記自体は英語のままですが、クリック後に起動する回復プロセスそのものは日本語化されています。
ボタンをクリックすると再起動を促すダイアログが現れ、[Restart now]を選択することでPCが再起動し、専用の回復シーケンスへ移行します。画面の案内に沿って進むと、まず既存ファイルの削除方法を指定する画面が表示されます。
削除方法を選択した後は、再インストールされるOS構成の確認画面が表示されます。公開されている検証例では、「Windows 11 Insider Preview Feature Update (26340.9596), (KB5124193)」「Home」「日本語(日本), 日本語」といったバージョンや言語情報が表示される仕様となっています。最終確認画面で[消去してインストール]を押すと、データの消去処理およびWindowsのダウンロードが開始され、それぞれの進捗状況がパーセンテージで表示されます。
「ファイルの削除」と「削除とサニタイズ」で消去強度が分かれる
クラウド リビルドを進める過程では、ストレージに残っている既存データの消去方法として2つの選択肢が提示されます。
| 選択肢 | 処理内容の挙動 | 想定される用途 |
|---|---|---|
| ファイルの削除 | 通常の手法でファイルを削除する。専用のデータ復旧ツールを用いた場合にデータを復元できる可能性がある。 | 初期化後も同じユーザーが手元でPCを使い続ける場合 |
| 削除とサニタイズ | 時間をかけてストレージ領域を上書き・無害化し、第三者によるデータ復元を大幅に困難にする。 | PCを他者へ譲渡・返却・再割り当てする場合やリサイクルに出す場合 |
サニタイズ(Sanitize)は、単にファイル管理上のインデックスを外すだけでなく、記録領域全体に意味のないデータを上書きして痕跡を消し去る処理を指します。処理完了までに長時間を要するものの、機密情報や個人情報の流出を防ぐ観点から、PCを手放す際の確実な初期化手段として位置づけられています。

保存データは全消去され、現在は評価用環境に限定されている
クラウド リビルドの利用にあたって最も注意すべき点は、ローカルストレージ内の全データが消去される点です。従来の「この PC をリセット」には用意されていた「個人用ファイルを保持する」という選択肢は存在せず、保存されたファイル、ユーザーアカウント、インストール済みアプリケーション、各種システム設定のすべてが初期化されます。
また、この機能は現時点でInsiderプログラムの「Experimentalチャネル」でテストされている段階です。マイクロソフトからも、日常業務などで使用する本番環境ではなく、評価・検証専用のデバイスに限定して試すよう案内されています。プレビュー段階のシステム機能は予期せぬ失敗や動作停止が発生するリスクがあるため、重要なデータが入った実機での適用は避ける運用が前提となります。
今後テストを経て一般向けの製品版OSへ搭載されるか、あるいは仕様が変更されるかは未定となっています。現在稼働中のPCでシステムの復旧が必要となった場合は、本機能の製品版リリースを待つか、既存の「この PC をリセット」やバックアップからの復元機能を利用して対応する形となります。
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